虹の連合ホームレス問題全国調査 最終報告集会
5月26日、大阪市内において、虹の連合ホームレス問題調査の最終報告集会を開催しました。
虹の連合ホームレス問題調査は、昨年(06年)2月の大阪でのシンポジウムを皮切りに、1年3ヶ月に渡って取り組んできました。
皮切りとなったシンポジウムでは、10年の期限立法であるホームレス自立支援法の中間年にあたり、法や基本方針の見直しのために政府・厚生労働省がホームレスの実態に関する全国調査を今年(07年)はじめに実施することを受けて、市民の側からの調査に取り組もうと呼びかけを行いました。
全国のホームレス自立支援に関わる団体や個人をはじめ、大阪就労福祉居住問題調査研究会(代表:水内俊雄大阪市立大学教授)をはじめとする関係者の方々のボランティアでの協力により、全国の都市・団体の訪問、野宿を脱した人々や野宿生活を送っている人々への聞き取り調査、大阪、東京、北九州でのシンポジウムの開催などに取り組んできました。
今回の報告集会は、そのような取り組みから得られた調査の結果や分析を発表し、今後の政策提言などについて議論を深めるために開催しました。この調査に協力いただいた全国各地の支援団体や関係者を含め、約150人が参加しました。
以下は、簡単な集会の報告です。集会の資料となったリーフレットの完成版は大阪就労福祉居住問題調査研究会のサイトからダウンロードすることができます。ご参照ください。(集会当日は暫定版での報告となっています)
報告リーフレット(完成版)ダウンロード(PDFファイル、22.3 MB)サイト(大阪就労福祉居住問題調査研究会)
集会の概要報告
はじめに、虹の連合特別代表の松岡徹参議院議員が主催者あいさつを行いました。松岡代表は、調査に協力いただいた人々への感謝の意を表するとともに、調査で得られた結果を今後の政策提言など、国や自治体への働きかけの基礎資料としていきたいとのべました。
つづいて、調査の結果と分析について、調査の実務を中心的に担って頂いた水内俊雄さんに報告いただきました。
今回の虹の連合調査では、26都道府県で、野宿を脱した人々660人、野宿生活を送っている人々122人への聞き取り調査が行われました。虹の連合調査は、ホームレスを広義に捉え、厚生労働省調査が野宿生活者を中心に聞き取り調査をしたのに対して、野宿を脱した人々から野宿経験のない人々まで聞き取りを行ないました。
厚生労働省調査と虹の連合調査の結果の違いについて見ましたが、とくに、野宿期間において大きな差異がありました。虹の連合調査では野宿期間が短期の人から長期の人までまんべんなく聞いているのに対して、厚生労働省調査では、テントや小屋に住む比較的長期の野宿生活者に偏っています。それにより施策の偏りが懸念されるところです。
虹の連合調査では、野宿生活者の聞き取りも行いましたが、各都市の支援団体の協力をいただきながら、女性、若年、高齢、移動型、短期、長期、再野宿等々の特徴的な野宿生活に焦点をあてて聞き取り、多様な野宿の実態を浮き彫りにしようと試みました。
その結果として、「自立」の意識はそれぞれ違いながらも、傾向として、野宿生活で自活をめざす意識と、脱野宿で自立をめざす意識が両極にある様子がうかがえました。
また、虹の連合調査では野宿生活の生の声を汲み取ることも重視しましたが、その一部が報告リーフレットに取り上げられ、集会でも紹介されました。
見えてきた中間施設の展開
つづいて、調査で見えてきた野宿を脱して自立生活・地域生活を送るまでの経路における中間施設の特徴が紹介されました。聞き取り対象者の約半数が中間施設を利用しており、11%の人は野宿を経験していなかったこと、また、四大都市と地方都市では大きな違いが見られたことなどの実態が明らかになりました。中間施設を通じて見ると、全国で均質的なサービスが展開されていないことがうかがえます。従来、住居政策や福祉政策になかったこれら中間施設は、ホームレス問題によって脚光を浴びてきているともいえます。脱野宿あるいは野宿回避に大きな役割を果たしている中間施設における支援を見ると、特に民間NPOの力が大きい。水内さんは、もう一つ重要なこととして、収入について紹介しました。約半数(48%)の方はすべて生活保護、4分の1(23%)の方はすべて就労、そして、残る4分の1の方が半分就労で半分生活保護もしくは年金による収入となっています。この生計、自立のありかたを施策を考える上で理解しておかねばならない。また、11%の野宿経験のなかった人々については、いわば野宿になる恐れのある人々が中間施設に駆け込むことで野宿を回避したと考えれば、施設や支援が大きなウエイトを占めていることがわかります。調査の中では、自分で福祉事務所に相談してそれらの施設に入った人が多く、福祉事務所などの窓口の役割が大きいといえます。中間施設については、まだまだ社会の大部分の人が知らない状況であり、しっかりと紹介していく必要があるのではないかという考えが話されました。全国各地でのホームレス問題の状況、そして支援や施設の状況は多様であり、すべてに当てはめることはできないが、一般的に言って、ホームレス施設は比較的短期で退所しているのに対し、宿泊所では比較的時間がかかっている。そしてその中間ぐらいに生活保護施設がある。これら三種類の施設をトータルにとらえることによって、施策の打ち方に工夫ができるのではないかとの分析も語られました。中間施設については、様々な施設についての解説が一覧でリーフレットに紹介されています。
ホームレスを幅広く捉える必要性
さいごに、ホームレス自立支援法の中間見直しにあたっての意見として、虹の連合調査で見えてきた厚生労働省調査の「数字のレトリック」が紹介されました。厚生労働省調査では、短期間で、夜間を除き、テント・小屋を中心で、移動層を除いた野宿生活者の概数調査によって、ホームレスの数の減少が報告されています。しかし、虹の連合の1年間におよぶ調査によれば、短期間の間に野宿を脱する人々やさまざまな中間施設を利用している人々がいる実態がわかります。さまざまなステージを行き来する人がいる現状を見ると、野宿生活者が減ったというのは一面的な判断といえるのではないか。むしろ、野宿経験がなくとも、支援や施策を利用している場合があり、ホームレス経験のある延べ数は著しく増えていると見るべきではないか。厚生労働省調査が2万五千人のホームレスが1万8千人に減ったというのに対し、水内さんは、ホームレス経験者という視点で見れば4〜5万人はいると推定します。
水内さんは、「ホームレス」数を野宿生活者の数に限定しているのは日本だけであり、「ホームレス経験者数」をベースとして施策を考え、打つべきである、と締めくくりました。
その後、新宿ホームレス支援機構の安江鈴子さんから、ホームレス自立支援法見直しにむけた国の動きについてお話しいただき、また、虹の連合調査の富田一幸事務局長からは今後の政策提言にむけての展望について話した後、虹の連合調査に協力いただき、当日の集会に参加いただいた全国各地の支援団体のメンバーから、各地の現状や課題、団体の活動報告がありました。
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