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2006年7月17日 (月)

7・4 シンポジウム in Tokyo

Tokyosym_1  虹の連合では、ホームレス問題全国調査の取り組みの一つとして、7月4日、東京の参議院議員会館でシンポジウムを開催した。午後2時からという時間設定にもかかわらず、支援団体の方々を中心に、約80人の方に参加いただいた。

 はじめに、虹の連合を代表して松岡徹参議院議員があいさつ。政府による全国実態調査の実施など、ホームレス自立支援法の中間見直しにあたって、市民の側の調査に取り組む上で、当事者の声をしっかりと反映させ、ホームレス問題が重大な社会問題、政治課題として位置づけられることをめざし、政策提言に結びつけていきたいと話しました。また、野宿を脱した人に聞き取り、真の自立をめぐる環境を探る上で、全国各地の支援団体・NPOの協力は不可欠であり、その支援と協力を求めました。

 続いて、虹の連合事務局の富田一幸が基調提案。ホームレスのいない社会をめざすのか、ホームレスにやさしい社会をめざすのかという問いかけは、「いない」という状態より「やさしいか冷たいか」という関係、結果より原因に着目しようという趣旨であること、虹の連合の調査では、対話を重視し、統計より人に着目したいという提案がされた。

 次に、調査の中身に関わって、調査を担う大阪就労福祉居住問題調査研究会の水内俊雄さんが自立をバックアップするものは何かを探ることに主眼においた「畳の上に上がった」方の調査を皮切りに、支援団体アンケート、野宿現場の各調査の説明がありました。水内さんは、大都市や地方都市など、事前調査で様々な現場と支援団体を訪問してきた中で、施策や取り組みの「デコボコ状態」を痛感する中、この調査で、いろんな知恵や経験を共有し、スキルの向上や人材の育成、ネットワークの構築などに結びつけていくことができるのではないかと話された。

 その後、水内先生の進行で、関東のいくつかの都市の支援団体の方々から、それぞれの取り組みや支援法、調査に対する意見などを発言いただいた。
 
 東京のNPO法人ふるさとの会の水田恵さんは、まず、ホームレス支援団体の全国的なネットワークの意義を話された。目の前の活動に精一杯で、全国的な動きがとれない中、自立支援法ができて問題が一段落したかのような雰囲気をもう一度盛り返すためのネットワークができることへの期待が語られた。また、地域の中で安定した住居と安心した生活を送れるようにするというふるさとの会の使命や、「ケア付き就労」など多様な支援とケアの継続性を掲げた活動の紹介があった。水田さんはまた、刑を終えた要介護高齢者や精神・知的障害者、ニートなど、広義のホームレス問題として新たに出てきた問題に取り組む上で、従来の支援システムを総括し、とくに心の問題の解決に取り組む支援体制の準備が必要ではないかと話された。

 NPO法人新宿ホームレス支援機構の笠井和明さんは、今回の調査が、ホームレス自立支援法制定後の支援団体の活動の検証の機会になるのではと提言した。また、ホームレスを一言ではくくれず、個別一人ひとりの状況が違う中、選択可能な施策を組み合わせるような支援が理想ではないかと話された。笠井さんは、東京都が進めてきた自立支援事業についての問題点を紹介された。例えば、箱モノ中心の施策の限界として、仕事のマッチングから漏れ落ちた人々を柔軟にフォローできないことや、その限界から実験的にスタートした地域生活移行支援事業では、テント生活者しか視野にない状況であり、就労を軸に低家賃であればやっていけるという人々などにも着目することや、地域でがんばっていこうという心を支えていける仕組みが必要ではないかと話された。

 千葉・市川市のNPO法人市川ガンバの会の副田一朗さんは、自立支援法にある「大多数存在する地域」や「必要あると認めるとき」という判断の基準についての疑問を投げかけ、ホームレスの数にかかわらず行政は施策を行うべきであると主張し、市川市のような地方都市において法の活用がいかに困難であるか、実態を知ってほしいと訴えられた。大都市と比較して法の施策の及びにくい地方都市でのネットワークを広げる必要性も語られた。団体の活動については、路上からの生活保護申請が認められないことから、住宅を買い上げて自立訓練をした上で申請につなげる取り組みや、病院からの退院時に礼金敷金を提供して生活保護につなげるなど、「いろんな支援をしなければ居宅生活を続けることは難しい」という現状を紹介された。

 NPO法人川崎水曜パトロールの会の水嶋陽さんは、提案された調査についての要望として、実態を正確に捉えるための調査の方法や視点を提言された。川崎市の現状として、路上から住所設定をして生活保護にかかった年間600人の内、一昨年で400人、昨年は300人が路上に戻ってきている現状があり、また、施設を転々と循環している人々も多く、自立への移行は決してスムーズではない。長時間をかけた聞き取りではじめて語られ、見えてくる孤立や差別、迫害の現実や背景がある。人間的なつながりというとき、厳しい現実を生きる人々とかかわり、自立にむけてふんばるように励まし支援していくには、相当な覚悟をもつべきではないかと問いかけられた。また、かつて野宿していた人々が新たな野宿を生まないための防波堤になるようなピア(仲間)としての働きかけなどを紹介された。

 最後に、NPO法人湘南ライフサポート・きずなの高沢幸男さんが、神奈川県域の野宿生活者の特性について、2年前に同地域で行った調査結果をもとに話された。川崎や神奈川と異なり、県域の小都市では、野宿生活者の8割がかつて県内に住んでいたり働いていた人であった。野宿になって1年未満の人が3割もいた。それはセイフティネットもなく生活破壊とともに路上に送り出すシステムがあるからで、そこへのアプローチが考えられなければならない。野宿は生活の一形態であるにもかかわらず、人間の価値を決めるかのように見られている。野宿生活者への偏見や人間関係の希薄さを把握し、ホームレスが笑顔でいられるやさしい社会は誰もが生きやすい社会であるという視点で、政策提案をしてほしいと提起された。

 各都市からの発題を受け、その他の地域の状況や活動の報告を含め、参加者の間での意見交流を行い、シンポジウムを終えた。

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